巴里レター No.59


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       ☆ 巴里レター No.59 ☆

 
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      BONNE ANNEE !
      あけまして、おめでとうございます。
      今年も、ヨロシク。


    ◇ 1987年 夏 〔3〕 ◇

 ストラスブールは、なんとなくお伽の国みたいな街で、
 そのせいか、住んでる人も仏語と独語を話したりします。

 そして、シュークルートがヒジョーに美味しかったです。ハイ。
 アムステルダムで飲んだ、ハイネッケンの生ビールと同じくらい
 美味しかったです。

 第二日目。
 この日もやはり、朝から雨が降っておりました。
 寝坊したので、ホテルの朝食には間に合いませんでした。
 
 ホテルのニイちゃんに、
 「いやぁ、どうも、いろいろお世話になったニャン。」と言うと、
 「おまえは、これからパリに帰るのか。
  水を注ぎ足し注ぎ足し、パリまで帰るのか。信じられない。」
 と言いながら、目は笑っているのです。
 『コノヤロー。』と思いながら、
 私自身、『信じられない。』といった気持ちなのでした。

 荷物を車に積んで・・・
 2週間のつもりで、いろいろ持ってきたのに、 
 野菜ジュースだけでも、10個も積んできたのに、(アホですね)
 ・・・そして、街を散歩したのでした。

 小さな街なので、散歩もすぐ終るのです。
 コーヒーカップの形をした、木で出来たローソク立てという
 ワケのわからんモノを、お土産に買いました。

     ∽     ∽     ∽

 午後一時、青年は決死の思いで、ストラスブールを後にしたのでした。
 雨はゴーゴーと降っています。
 オートルートに入ると、パリまであと485kmという標識が
 目に入りました。
 思わず、「あぁ。」というタメ息が洩れます。
 快楽の喘ぎではありません。

 しかし、カシコイ青年は、水が無くならないうちは、
 普通に走るのだ、というコトに気がついたのです。

 思わずニタリと、やや引きつったように笑い、
 アクセルを踏む足に力が入るのでした。
 そして、来たときと同じように、追越し車線をツッパシリながら、
 スリルとサスペンスに酔いしれていたのでした。
 自分がコワイです。ハイ。

 それでもやはり、後ろからベンツやポルシェが近づいて来ると、
 涙をのんで道を譲るのでした。
 他の車に追い越されると、その凄まじい水しぶきをババババと浴びて、
 一瞬、何も見えなくなるのです。
 でも、道は真直ぐだし、車の数も少ないので、
 事故にはなりません。

 だいたい100kmごとに、サービスエリアに入って、
 水を足しながら、一路パリに向かって走りました。
 パリまで、あと197kmとかいう標識を見ると、
 思わず「おお!!」とか口走ります。
 
 雨が小降りになると、霧が出てきたりして、
 なかなかのドライブ日和でした。

     ∽     ∽     ∽

 ロッドスチュアートと井上陽水を聞きながら、
 スティービーワンダーと山口百恵も聞きながら、
 ドードーと降る雨のなかを、パリに向かって車を走らせたのでした。
 
 そして、ついに午後8時頃、雨に滲むフロントガラスの向こうに、
 懐かしの巴里が見えてきたのです。
 (巴里を出発したのは、前日の朝だったのですが。)

 悪天候のなかを、二日間で1200km近くも走って、
 五体満足で帰って来たのでした。
 感動の涙が青年の頬を伝い、思わず、
 「クルマよ。あれが巴里の灯だ。」と言ったとか、言わなかったとか。

 山田君ちに行って、驚かしてやろうかと思ったのですが、
 部屋に荷物を運び込んだとたんに、疲れがどっと出て、
 そのまま寝てしまうところだったのですが、
 根性で、シャンゼリゼにハンバーガーを食べに行ったのでした。

                             (つづく)
 
 〈 現在の筆者による注 〉

 いやあ、若いってイイですねぇ。(・・・・・)
 ストラスブールのことが、ほとんど書いてないですなぁ。
 ちゃんと書けよ、当時の自分。

 手紙には、もっと余計なコトも書いてあったのですが、
 関係ない部分はカットしました。
 例えば、次のような部分です。

    今、山田君は、僕に「書け書け。」と言われて、
    手紙を書くところです。
    さっきまで宙を見つめて、なにやら考えていたのですが、
    いま、おもむろに国語辞典などを開いて、
    「エ〜。」とか言っています。
 
 

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      ◇  詩のような言葉たち 〔27〕 ◇  



          時の曲り角で
          暮れ残っている遠景

          記憶が崩壊するよりもはやく
          色褪せてゆく愛

          何もない空間に
          誰かがまたひとつ
          偽りの輪をつなぐ


                        「詩人の翼」より



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   ◇  アメリとマストロヤンニ  ◇

 先日、例の「アメリ」という映画をTVでやっていたので、見ました。
 面白かったですね。
 なぜフランス人に大ウケしたのか、分かるような気がしました。
 アメリ以外の登場人物が皆、
 典型的なフランス人のカリカチュアなんですね。
 『そう、そう。・・いる、いる。』って感じの人ばかりです。
 (べつに、スピード写真のボックスの下を探ってる人がいるって
  意味じゃないけど)

 それに、フランス人て、あーゆー軽いジョークが好きなんですよ。
 根がラテン的で、楽天的なんですね。
 あんなジョークが、もう少し上品になると「エスプリ」って
 言われるんでしょうね。

 ストーリーとか、主人公の魅力とかは、二の次でイイのです。
 とにかく、あーゆー雰囲気が好きなんですね。(監督はエライ!)
 ちょうど日本で、「男はつらいよ」の寅さんシリーズが、
 人気があったのと似てますね。
 舞台設定も似てるかな。東京の下町と、巴里の下町。

 立派な人とか、お金持ちが出てこないというのも、
 共感を呼ぶんでしょうね。
 フランス人も、大部分は庶民だから。
 アメリがカフェのウェイトレスで、
 その相手がSEXショップの店員、というのもイイですね。
 庶民でも一番下の方だから、安心して見ていられるのでしょう。

 実際に、そーゆー職業に就いてる人は、
 あんなにサンパ(仏語で感じがいいという意味)じゃないと思うけれど、
 『モンマルトルだったら、ひょっとしたら、あり得るかも。』
 と思わせるようなところが、上手いですね。

 近ごろのフランス映画って、フランス人にはウケても、
 僕等が見たら、『何がいいのか、全くワカラナイ。』
 っていうのが多いから、映画館では、ほとんど見ないんですね。
 まあ、言葉の壁とか、アホの壁とかいうこともあると思うけれど。
 でも、この「アメリ」はヨカッタ。 当りです。

 映画に登場した店に、観光客が行く、というのも分かりますね。
 『今ごろ、遅い。』という意見も、あるかもしれないけど。

 まだ見てない方には、お薦めです。
 ちょっとワケわからなくても、
 『そうか、フランス人て、こーゆーのが好きなんだ。』
 と、フランス人に対する理解が深まるかもしれません。

 それから、
 アメリが、僕の好きなポン・デザールの橋を渡るというシーンも
 ちゃんと入っていて、『この監督、センスいいよ。』と、
 思わずホメてしまいました。

 でも、女の人は、モンマルトルに住もうなんて、思わないことです。
 やっぱりアブナイ地域だから。

     ∽     ∽     ∽

 以前、マルチェロ・マストロヤンニ(イタリア人の俳優)が死んだとき、
 巴里で死んだ、ということも意外だったけど、
 彼がモンマルトルのある18区に住んでいたということの方が、
 もっと意外でしたね。
 お金持ちとか有名人は、フツー住まない地域だから。
 そういう人は、16区とか郊外のNUEILLYに住むみたいです。

 でも彼は、きっとあの、高級住宅街の、
 人を見下すような雰囲気がイヤだったんだろうな、とか思うけど。

 マルチェロ・マストロヤンニ、いまは無きニッコーホテルのロビーで
 見かけたことがあります。 優しいライオンて感じの人でした。
 フランスの映画にも出てましたね。
 移民が多い巴里郊外の集合住宅に住む、
 酒呑みのダメおやじという役で、そのダメさ加減がとってもヨカッタ。

 その映画のなかで、不良っぽい娘が、
 彼氏を連れて来て紹介するんだけど、マストロヤンニが、
 「・・・お仕事は、・・・何をされてますか?」って訊くと、
 彼氏が、「ドロボーをやってます。」と答えるんですね。
 マストロヤンニは、「・・・ドロボーは、・・・もうかりまっか?」と言う、
 その言い方がなんともいえずヨカッタ。 名優です。
 
              2004年1月9日    Michio

 追伸

 こころ優しい読者の方がいて、僕の詩集「詩人の翼」を
 注文してくださったそうです。
 届くまでに8週間かかる、という話だったそうですが、
 実際には5日で届いたとか。 ・・・不思議ですねえ。

 で、久ぶりに「アマゾン」で検索してみたら、なんと、「詩人の翼」が
 amazon.co.jpの売り上げランキングに入っていました。
 207271位だって。(1月9日現在) ・・・面白いですねえ。
 べつに、最下位という意味ではないみたいです。

 7年前に、500冊しか作らなかった本が今でも買える。
 というのが、ナントモ言えませんなぁ。
 でも、そのうち、在庫切れになるかもしれない。
 こころ優しい方は、お早めにどうぞ。
 (本屋さんでも、注文できるはずです。)


 HP本館   http://www.geocities.jp/paris1830/
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 フォトアルバム  http://photos.yahoo.co.jp/michion2


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