巴里レター No.17

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       ☆ 巴里レター No.17 ☆

 
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 § パリのニセ警官

 けっこういるんですよ。
 イタリアの方で流行って、こっちに伝わってきた手口だと思います。
 僕が来た頃は、そういう手口なかったですね。

 よく出没する場所は、シャンゼリゼ、エッフェル塔付近、オペラ界隈。
 旅行者(特に日本人かな)をカモにしています。

 いろんなバリエーションがあるんだけど、
 クラシックなものは、まず狙いをつけた旅行者に近付いて、
 身分証のようなものをチラッと見せて、「ポリス」であると言います。
 私服の刑事というわけですね。

 カーキ色の制服のような上下を着てる人もいるそうです。
 でも、フランスのポリスの制服は、カーキ色じゃありません。
 (紺とか黒かな)

 次に、「パスポートを見せてください。」と言います。
 街なかで、ポリスが旅行者に向かって、
 「パスポートを見せてください。」なんて言うことは、
 まず、99%ありません。

 パスポートの次は、「お財布を見せてください。」と言います。
 普通に考えれば、ここでオカシイと思うのですが、
 そこは、国家権力に弱い日本人、素直にお財布を出してしまいます。
 
 ニセ警官は、ニセ札の検査をするようなフリをして、
 その間に、高額紙幣を何枚か抜きとってしまいます。
 これは、ちゃんと見ていたのに、わからなかったという、
 かなりのワザ師もいるようです。

 サクラがいる場合もあります。
 旅行者のフリをした仲間が、地図を広げて寄ってきます。
 カモさんに道を尋ねている間に、ニセ警官がやって来て、
 まずサクラの旅行者の財布を調べます。
 そしてカモさんの財布も見せてください、という手口です。

 あるいは、麻薬の検査をしていると言って、バックの中身を調べます。
 そして、財布だけ抜きとってしまいます。


 ・ 聞いた話

 ヒルトンホテルをタクシーで出たら、少し行ったところで、
 ポリスに止められて、ニセ札の検査を受けたそうです。
 あとで調べてみたら、お札が何枚か足りなかったそうです。
 
 タクシーの運転手も、本物のポリスだと思っていたとか。
 ホントかよ。グルじゃないのって、疑っちゃいますね。

      ∽       ∽

 シャンゼリゼだと、三、四人で来て、横道に連れていかれて、
 そこでやられるそうです。
 途中で、オカシイって気がついた日本人の男の人が、
 相手と取っ組み合いになって、
 結局、額を何針か縫うケガをしたとか。

 ついて行っちゃ、ダメなんですよ。
 「パスポートは持っていない。」とか言って、すぐ離れるべきですね。

      ∽       ∽

 すごいのは、ビデオカメラのなかに、麻薬が隠されていないか
 開けて調べると言って、持って行ったニセ警官もいたとか。
 「○時に、またここに来てください。
  そのときに、ビデオカメラを返します。」と言われて、
 その時間に行ったけど、誰も来なかったって。
 (来るわけないだろ。しっかりしろよ、日本人。)


 ・ 僕が実際に見たニセ警官

 去年だったかな、一昨年だったかな、
 ルーブルの駅の階段を降りていったら、
 少し前を歩いていた、アラブ系の太っちょのオジさんが、
 (この人、スーパーのビニール袋を下げてた)
 ホームで、日本人の女の子に、プラスチックのカードを、
 ポケットからチラッと出して見せて、
 「ポリス・・・・・ ポリス・・・・・」とか言ってるんだよね。

 その女の子は、いかにも、日本から一人で来ました、みたいな感じで、
 ちょっとトロそうな顔で、口を半分開けて、オジさんの顔を見てました。

 僕は、
 『アンタがポリスなわけねえだろ。』って思いながら、その女の子に、
 「ニセ警官ですよ。」って、教えてあげたんだけど、
 彼女は、まだ自分の置かれている状況が理解できないみたいで、
 口を半分開けたままでした。

 その太っちょのオジさんは、バレたと思ったらしく、
 そそくさと、ホームの一番端のほうまで行ってしまいました。
 『スーパーの袋持って、ニセ警官やるなよな。オッサン。』
 って思っちゃいました。

 でも、こういう場合、最近の若い子は礼も言わないんだよね。
 べつに、どうでもいいんだけどさ。

    ∽     ∽     ∽

 むかし、パリで爆弾事件が流行っていたころ、メトロのホームで、
 本物のポリスに止められたことがあります。
 不審な荷物があるから、その通路は通れないっていう話でした。

 そのとき、刑事さんが見せてくれた身分証は、
 アメリカ映画に出てくるような、黒い革の上に銀のバッジが
 付いたものでした。銀のバッジは、星形ではなくて、丸っぽい形でした。
 まあ、他の形の身分証も、あるかもしれないけれど。 参考までに。
 

 ・ ニセ警官ではないけれど、ちょっと面白かった話

 ローマのバチカンの広場って、すごい広いんですよ。
 日本人の旅行者が、そこで記念写真撮ろうと思って、
 カメラに三脚をつけて、タイマーをセットして、
 ダァーっと走って行って、パッと振り向いたら、
 もうカメラが無かったんだって。
 
 さすが、イタリアだ、って笑っちゃいました。


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   ◇ ルルド Lourdes 〔4〕 ◇

 とりあえず泊まるところを、決めようと思ったのです。
 友人のSさんは、ユースホステルがなかったので、
 ルルドには、泊まらなかったとか。
 
 僕はなるべく、マリア様が現れたという洞窟から近いところに、
 泊まろうと思っていたのです。
 どうも奇跡は夜起こるみたいだから。
 
 さっきの入口を出ると、大きなホテルがボンボン建ってるんだよね。
 とにかく、マリア様が現れるまでは、何もなかったところだから、
 その辺一帯は、純粋にホテルとか、おみやげ屋さんとか、
 そんなのばっかりです。

 大通りから見えるホテルの看板は、三ツ星ばっかりだったんだけど、
 最初から三ツ星のホテルには、泊まるつもりが無かったので、
 そーゆーのはパス。

 ちょっと細い通りに入ったら、二ツ星がいくつかありました。
 最初の二ツ星は、満室で断られたけど、
 二番目で、空いてる部屋があったので、そこに決めました。

 洞窟と同じ岸で、そんなに遠くない。
 わりと安かった。38ユーロ。
 でも部屋のなかを歩くと、床がギシギシいうんだよね。
 
 『オイオイ、ほんとに二ツ星かよ。
  せまいし、隣の部屋の音はよく聞こえるし、かなり安普請だねえ。』
 
 でも、サンチャゴ・デ・コンポステラで泊まったところと、
 なんとなく似てる。せまくて、テレビもないけど、清潔で、
 ホテルの人が、とても感じいいんだよね。
 キリスト教の団体を、受け入れていると、そうなるのかなあ。
 
 ロビーでは、シスターのオバさんたちが何人か、小声で話しています。

 驚いたのは、ロビーにカギを掛けるところがあって、
 外出するときは、自分の部屋の番号に、カギを掛けて行くんだって。
 戻ってきたら、そこから勝手にカギを取って、部屋に上がるんだって。
 ホントかよ。 そーゆーホテル、初めて泊まりましたね。

 ドロボーとか、入らないわけ? まあ、神様のお膝元だから、
 悪いコトする人、いないのかも知れないけど。
 でも、ねえ。 ちょっと、すごいんじゃない。
 
    ∽     ∽     ∽

 車も、ちゃんと、ホテルの近くのパーキングエリアに移しました。
 ジプシーのネエちゃんたちが、仲間連れてきて、
 トランクこじ開けたりしなかったかなトカ、ちょっと心配だったけど、
 大丈夫でした。こっちでは、けっこう、そういうコトあるんですよ。
 
 置いといた車の窓ガラス割られて、なか荒されたとか。
 トランクこじ開けられて、入れてたもの盗まれたとか。
 だから、車の保険に入るとき、
 「窓ガラスの保険は、入っておいたほうがいいですよ。」って、
 勧められるもんね。そーゆー保険あるんですよ。
 たいして高くないから、みんな入るんだけど。

 荷物を部屋に上げてから、また洞窟に出かけて行きました。
 (ちなみに、車で旅行するときも、荷物はバックパックです。)

 あまり人の数は減ってなかったですね。
 また水を飲んで、「やっぱり、おいしいなあ。」とか感心したり、
 持って行ったペットボトルに、水を入れたりして。

 今度は、洞窟の列に並んでみました。
 やっぱり数十人並んでいるんだけど、
 みんな、マリア様が現れたという洞の下に行って、
 そこの岩に触るだけだから、けっこう進みましたね。

 ちょっとした岩山っていうのかな。
 大きくえぐれている岩の洞のところにも、
 ジワジワっと水が滲み出ているんだよね。
 滲み出ているというか、濡れているというか。

 列が進んでゆくと、洞の奥(といっても数メートル)の地面に、
 お盆くらいの大きさの厚いガラスがハマッていて、
 その下に、コンコンと湧き出ている泉が、ライトアップされていました。

 湧き出ている水の量は、「ほう」とか思うくらいでした。
 ちょっと予想以上って感じかな。

 そのあと、いよいよ、マリア様の洞の下に行くんだけど、
 その岩もやっぱり濡れていて、その水分をハンカチにとって、
 額にあててる人もいました。

 僕より二人前に並んでいた白人のオバさんが、
 マリア様の洞の下まで行ったら、いきなり泣き出しちゃったんだよね。
 『えっ』とか思ったんだけど、そのあたりにいる人達は、
 皆、こっちを見てるじゃないですか。
 でも、あまり驚いてないんだよね。
 『たまには、そういうこともあるでしょう。』みたいな感じ。

 僕は、こういう場合、どうすればいいのか分らなかったので、
 思わず普通の顔をしてしまいました。

 僕も洞の下の岩に触ってみたけど、まあ、普通の岩ですね。
 ちょっと湿ってるけど。
 サンチャゴ・デ・コンポステラみたいに、手の形にへこんでるとか、
 そうゆうことはなかったですね。

    ∽     ∽     ∽

 他の人達みたいに、しばらく、そのあたりでボンヤリしてました。
 
 僕は、こういうところでも、人前で十字を切るというのが、
 恥しいんだよね。他の人は、十字を切るどころじゃないですよ。
 もっと真剣に祈ったり、ひざまづいたり、
 地面にキスしたりしてるのにねえ。

 やっぱり他の人に比べると、信仰が浅いんだろうなって思いましたね。
 神様、信じてるんですけどね。僕なりに。
 まあ、フランスによくいる、
 信じているけど、実践してないっていうタイプかな。
 
 でもねえ、聖書に書いてあること、実践できるかっていうと、
 それはもう、ドストエフスキーの世界になっちゃうんだよね。
 あのカラマーゾフの大審問官ですね。

 まだ読んでない人は、
 死ぬまでに、一度読んだほうがいいと思いますよ。
 「カラマーゾフの兄弟」の大審問官の章だけでもいいから。
 人類にとって、とても大きな問題ですね。

 「トルストイやドストエフスキーは、大長編を書いたから、
  大作家といわれるわけじゃないのです。
  キリスト教という大きな問題を扱ったから、
  大作家といわれるのです。」
 と教えてくれたのは、高校の先生だったかな。

 読んでみて、納得しました。
                         (つづく)


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 【 近ごろのフランス 】

 街なかで、日本人の旅行者が、ポリスにパスポートコントロールを
 受けることは、99%ありませんなんて書いたけど、
 ひょっとしたら、最近はそうでもないのかもしれない。

 内務大臣がサルコジになってから、
 治安対策に本腰入れてるみたいで、
 僕も、「巴里レター」に登場したKも、
 ポリスのコントロールを受けてしまいました。

 日本人を尋問して、どーすんだ、って言いたいですね。
 まあ、Kは日本人には見えないけど。


 【 ちょっとした意見 】

 こちらのテレビを見ていると、ニュースキャスターや司会者の人が、
 ときどき、ドイツやイタリアのことを、ちょっと親しみを込めて、
 「私たちの隣人」と呼んだりしています。
 
 日本でも、お隣の韓国とか、中国とか言うことがあると思いますが、
 それよりも、もっと親密なニュアンスが含まれているようです。

 「私たちと近所づきあいをしている国」といった感じですね。
 視聴者も、それをよく理解しています。

 僕は、『いいなあ』とか、『ちょっと羨ましいなあ』とか、思ったりします。

 北朝鮮に拉致された人たちが何人も、すでに亡くなっていた、
 というのは悲しいニュースでした。
 涙もろい僕は、それを読んだだけで、泣きそうになってしまいました。

 けれど、マスコミや政治家が、その悲しみや憎しみを煽るようなことを
 してはいけないと思います。

 互いに憎しみだけを増幅させてゆけば、
 イスラエルとパレスチナのような関係になってしまうと思うからです。

 北朝鮮は、変わろうとしています。
 日本は、その姿勢を評価するべきです。

 国が大きく変わろうとするときには、
 たいへんなエネルギーを必要とするものでしょう。
 また、多くの困難を伴うものでしょう。

 北朝鮮との関係を、地理的な「隣人」から、
 「近所づきあいのできる隣人」に発展させること。
 日本にとっては、それが大事なことであり、
 また、それが政治というものでしょう。

        2002年9月23日     Michio

 
 追伸

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